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鎌倉、ペリアン、そしてこけし [art]


ずっと行きたかった、シャルロット・ペリアンの展覧会
最終日の今日、ようやく行ってまいりました。

ル・コルビュジエが苦手としたインテリアの設計を
ピエール・ジャンヌレとともに手がけたことで知られる、ペリアン。
《シェーズ・ロング》や《グラン・コンフォール》といった椅子は、
今でも色あせることのないデザインとして、愛され続けています。

坂倉準三設計の神奈川県立近代美術館で、
ペリアンの作品を見ることのできるよろこび。
坂倉とペリアンは、コルビュジエのアトリエで、
ともに研鑚を積んだ仲間でした。坂倉や、やはり
同じ時期にコルビュジエのアトリエにいた前川國男
との交流から、彼女は日本への関心を深めます。

そして、工芸指導所の招きによって来日。
柳宗悦らによる民芸運動や東北地方の生活調査から、
竹や藁蓑といった材料と出会い、家具に応用するのです。

ペリアンの創作活動を、図面や写真、手紙、現存する家具などで
振りかえるこの展覧会。本でしか見たことがなかった資料や作品を
実見することができて、学ぶことの多い展覧会でした。

実はわたし、草月流の華道を長年やっているのですが、
草月の花材として、昔から竹が用いられることが多いのは、
もしかしたら創始者の勅使河原蒼風がペリアンから影響を
受けたのかなと思いました。丹下健三の草月会館の家具を
ペリアンが手がけていたりして、交流があるのです。

竹は、今では東洋を象徴するようなものと思われがちですが、
あくまでそれは「民芸」であって、日本美術の伝統として、
芸術的に重きを置かれることはありませんでした。

この展覧会、広島市現代美術館、目黒区美術館にも巡回する
ので、興味のある方は、ぜひご覧になってみて下さい。

そうそう、神奈川県立近代美術館といえば、鶴ヶ岡八幡宮の
境内にございます。もちろん初詣もしてまいりましたよ。

そのあとは、念願の沼田元氣先生のコケーシカへ。
かわいいこけしと出会い、ほくほくと連れ帰ったのでした。


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今年はじめてのお買いものは、こけし。


手のひらのなかの海 [art]


夏の海は、わたしには健全すぎて、
きらきらとまぶしく、
拒否されているような気がして、
いつも行くのを躊躇してしまいます。

でも、
やっぱり海のことは好き。
ちょうどいい季節、
それを待っていました。

葉山で、古賀春江の展覧会をやっている!

海が、もういいよ。
そう、わたしに言っている気がいたしました。

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日本のシュルレアリスムの画家として知られる古賀春江。
シュルレアリスムのこと、あまり好きではないわたしですが、
以前から、彼の作品には惹かれておりました。
確かに、同一の画面のなかに現実を超えた、
ありえない世界が描かれているのですが、
それは他のシュルレアリスト的な無機質な
「夢」とか、「偶然」とか、そういうのでではなく、
どこか くすっとほほ笑んでしまうところが、
彼の作品のなかにはあるような気がいたします。
そして、そこが、わたしの好きなところでもあるのです。

シュルレアリスムは、オートマティスムなどで知られるように、
文学とも深い関わりがあります。古賀春江も、たくさんの詩を
残していますが、それは作品の解題詩であり、その点に
おいては、シュルレアリストではなかったようです。
そして、文学を愛し、詩人であるという、この点こそ、
彼の作品がどこか詩的で、ロマンティックたる所以なのかもしれません。

わたしは、今まで彼のシュルレアリスティックな絵画作品しか
みたことがなかったので、今回の展覧会でそこにたどり着くまでの
彼の試行錯誤や作品とその解題詩をいっしょに見ることができて、
とても楽しかったです。改めて、彼の作品を好きだと思いました。

そして、
葉山を訪れたもうひとつの目的、
秋の海は、わたしを大きく受け止めてくれました。
その日、砂浜で見た夕日は、真っ赤っかで、
遠くに富士山のシルエットがうかんでいました。
思わず、フジファブリックの「茜色の夕日」を口ずさんで
しまった、わたしたち。

ちょっぴり心にしみました。

そうやって、
ふくふくと幸せでいっぱいになったわたしは、
ひろった貝がらをにぎりしめた手のひらに、海を感じながら、
東へと帰っていったのでした。

次に行くときは、フリスビーをもっていこう。

「古賀春江の全貌」展 
神奈川県立近代美術館 葉山館にて。
9月18日-11月23日まで。

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貝がらひろったよ。

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海星もいたよ。

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わたしなりにはしゃいでいるよ。


ムナーリ先生と六郎おじちゃん [art]


雨がふっているのに、太陽が雲間からしずくをきらきらと
てらすお天気雨模様。わたしたちは海辺のまちまで、
ムナーリ先生と六郎おじちゃんに会いに行きました。

横須賀美術館
そこは、東京湾をのぞむ灯台の下にありました。

ブルーノ・ムナーリのこと、有名な彼の絵本や子どものため
の造形教育からご存じの方も多いかもしれません。未来派
に影響を受けた、イタリアのアーティストです。この展覧会で、
ムナーリ先生のアーティスト生活の全貌にふれて、その美意識
の高さに終始感心いたしました。

特に、持ち運びのできる彫刻シリーズ。
彫刻をコンパクトに折りたたみ、旅行鞄にそっとしのばせ、
世界中の滞在先でたのしむことができるのです。
なんて素敵なことでしょう。

展覧会には、ムナーリ先生が考えた子どものための造形教育を
体験できる一室があって、わたしたちも夢中になって、いろんな
物語をつくりました。

晩年のムナーリ先生のお写真、おめめがきらきらしてて、
好奇心旺盛な少年のようでした。

そして、
同じ日、同じ美術館にて、もうひとりの少年と出会いました。

谷内六郎。
長い間『週刊新潮』の表紙を描き続けた画家です。
六郎おじちゃんは、横須賀を愛し、この地にアトリエを構えた
そうです。そのご縁もあって、横須賀美術館に『週刊新潮』の
表紙絵などの彼の作品が寄贈されたのだそう。
六郎おじちゃんの絵は、詩のような、物語のような、絵本のような、
どこか懐かしい、少年のこころをもったロマンチストにしか描けない
ものだと思います。

六郎おじちゃんの年譜に、何年だったか、
「観音崎灯台の一日灯台長になる」
という一文があって、
わたしも一日灯台長になりたい!
どうやったらなれるの?
と、ご一緒したひとを困らせてしまいました。

わたしの将来の夢がまたふえた、海辺で過ごした一日。


闇の夜に


旅の絵本 (谷内六郎文庫 (1))


「ブルーノ・ムナーリ」展 
横須賀美術館にて。
6月26日-8月29日まで


女は下着でつくられる [art]


茨木のり子に「詩集と刺繍」という詩があります。

「・・・
二つのししゅうの共通点は
共にこれ
天下に隠れもなき無用の長物
さりとて絶滅も不可能のしろもの

たとえ禁止令がでたとしても
下着に刺繍するひとは絶えないだろう
言葉で何かを刺しかがらんとする者を根絶やしにもできないさ
・・・」

わたしは、この詩のなかに
戦争中、ほのかな明かりの下で、白い下着に刺繍糸を
くぐらす少女の姿を見ました。
そして、それを美しいと思いました。

自分が愉しむための下着。

今日、生田緑地にある、川崎市岡本太郎美術館にて
開催中の企画展「前衛下着道-鴨居羊子とその時代」
へ行って参りました。

鴨居羊子をご存じでしょうか。

日本において、下着に革命をもたらしたとされる下着デザイナー。
あざやかな色、やわらく心地よい素材、ロマンティックなデザイン、
彼女のつくりだす下着は、白いメリヤス製のものが一般的だった時代、
とても革命的だったといいます。

彼女の創作は、下着だけにとどまらず、多くのエッセイの執筆、
お人形や映画《女は下着で作られる》の製作、舞台デザイン、
絵画など、さまざまな分野をひょひょいっと飛び越えてなされ、
そのいずれにおいても、素晴らしい作品をのこしています。

今東光、司馬遼太郎、細江英公、岡本太郎、田辺聖子・・・・
彼女に魅了されたひとたち。
このそうそうたる面々からも、彼女のすごさが伝わるのでは
ないでしょうか。

わたしは、以前、長崎県美術館で彼女の絵を見て以来、
その存在が気になっていて、いくつかの彼女のエッセイ
にも触れてきました。

そして、今日、
彼女の作品に囲まれて、とてもくやしかった。
彼女と同じ時代を生きたかった。
彼女のデザインする下着を身につけたかった。

女は、下着ひとつで、その日の気分がかわるもの。
女は下着でつくられる!、心からそう思いました。

とてもすばらしい展覧会でした。
帰りの生田緑地、わけもなく走ってみたくなりました。


わたしは驢馬に乗って下着をうりにゆきたい (ちくま文庫)


「前衛下着道-鴨居羊子とその時代」展
川崎市岡本太郎美術館にて
4月17日-7月4日まで

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